従業員・役員への貸付金は利息が必要!利息計上しないと所得税が課されますよ。。

会社を経営していると、従業員へお金を貸すことが(まれに)あります。 また、社長含む役員への貸付けもよくあることです。

これらの貸付金について無利息の場合も多いですが、所得税が課されるので注意が必要です!

目次

貸付金の発生状況

会社の会計処理をしていると、時たま従業員や役員への貸付金が発生します。どのような状況で発生するかご存じですか?

従業員の場合〕

● 従業員が貸してほしいと頼んでくる

病気や事故の入院費、身内の葬式費用、空き巣や強盗による資金不足、遊びたい金ほしさなど理由はさまざまです。

役員の場合

● 会社のお金を個人的なものに使ってしまう

これは悪意があるわけではなく、中小企業ではよくあることです。中小企業では会社と個人の財布が同じになっており、会社の預金から引き出した現金を個人的に使ってしまうとことで会社へ返済すべき債務(役員貸付金)が発生します。
これは社長が知らぬ間に発生するので、税理士から説明しても理解しづらい方も多いです。

● 大きいお金が必要になった場合

例えば会社の株式を親や親族から買い取る・贈与を受け贈与税を払うなど、事業承継時に多額のお金が必要になることがあります。
このような場合は会社からお金を借り、毎月の役員報酬から返済するパターンが多いです。

利息の計上がないと給与課税

従業員や役員への貸付が発生した場合、利息相当額の利息をとらないと所得税が課されます。

利息相当額は以下の年利により計算した金額です。

平成21年中の貸付け4.5%
平成22~25年中の貸付け4.3%
平成26年中の貸付け1.9%
平成27~28年中の貸付け1.8%
平成29年中の貸付け1.7%
平成30年以降の貸付け1.6%

市場金利の低下が反映されているため、年々減少しています。

無利息の場合は上記の利息相当額が、低い利率で貸している場合は利息相当額との差額が給与所得として従業員・役員に所得税が課されます。(税務調査で指摘され、過去の分を納税することになります)

なので、多くの会社では上記の利率に基づいて利息をしかっり計上しています。

役員の場合は決算で

(未収入金)××× (受取利息)×××

の仕訳をすることで利息計上しています。この未収入金は将来役員から返済してもらう必要があります。税務署は利息を計上していれば文句を言いません。

無利息でも認められることも

ただし、以下の場合には無利息又は低利息でも、給与課税する必要はありません。

① 災害や病気で多額の生活費用が必要となった(かわいそう)

② 会社における銀行借入金の平均金利によって貸付利息を取っている

③ 1.6%(令和元年)で計算した利息と実際支払う利息の差額が年間5,000円以下

③の場合、貸付金額が31万円以下であれば5,000円以下となるため無利息でも給与課税が不要となります。

役員からの借入金の場合は無利息でもOK

では逆に役員から借入金があった場合は利息計上は必要なのでしょうか?

実は役員借入金の場合利息計上は不要です。

役員に対し利息を支払った場合、

● 役員 → 所得税確定申告で「雑所得」として課税
● 法人 → 経費となるので法人税額が減少

となるため、税率の差はあるものの結局相殺されるのです。

ちなみに役員貸付金の場合の利息計上は

● 役員 → 経費とならず、税額に影響なし
● 法人 → 収益となり法人税が課税

となるため、法人税が増加するのみとなります。

なので税務署としては役員貸付金の利息については厳しく、役員借入金の利息はどうでもいいのです。

従業員への貸付けの注意点

私は会社(社長)から従業員への貸付を何度も見てきました。しかし、高い確率で返済が滞りました。ひどい場合だと、借りたあとすぐに会社に来ないこともあります。。

金銭消費貸借契約書(借用書)を作成し、そこに返済スケジュールと退職した場合の一括返済事項をしっかり記載するように!

役員への貸付けの注意点

利息を計上すること以外に気を付けるべき点は、会社に銀行からの借入がある場合です。

銀行からすると貸したお金が社長などの個人に流れているため

● 借りた理由を明確に説明
● 毎年貸付金の残高を減少

することで銀行の評価を下げないようにしましょう。

従業員・役員への貸付金がある会社は今一度見直しを!

大阪本町の田税理士